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HOME > LPガス安全委員会について > 支援事業「佐賀県地域婦人連絡協議会主催 令和5年度「防災学習会」」の紹介

LPガス安全委員会が支援する保安活動レポート

佐賀県地域婦人連絡協議会主催 令和5年度「防災学習会」

佐賀県では近年大きな水害が続き、防災への関心が高まっています。佐賀県地域婦人連絡協議会でも毎年災害時の防災対策やLPガスの安全性を見なおす防災学習会を開催しています。LPガス安全委員会では、全国女性団体連絡協議会を通じて、各地域婦人会が主催する「防災学習会」を支援しています。令和5年12月、佐賀県地域婦人連絡協議会主催の防災学習会視察のため同協議会を訪問。令和元年の水害などで行われた炊き出し活動についても山口会長にお話を伺いました。

佐賀県地域婦人連絡協議会の山口会長、防災学習会の講師で日本赤十字社の馬渡さん、協議会の光石さん

佐賀県地域婦人連絡協議会の山口会長、防災学習会の講師で日本赤十字社の馬渡さん、協議会の光石さん

災害の少なかった佐賀で続く水害

令和元年、3年、5年と佐賀県では豪雨や台風による被害が相次いでいます。佐賀県地域婦人連絡協議会の山口七重会長の地元、武雄市でも令和元年の浸水で2m近い高さまで水に浸かった場所もありました。多くの家で家財道具を買い替えたのに、再び令和3年に浸水。新品の家具や家電がゴミの山となりました。もうここに住みたくない、という声に山口会長は胸を痛めたといいます。

「これまで佐賀は災害が少ないイメージがあり、被災経験のない地域では未だピンとこないという人もいます。しかし、私たちの身近でも不幸がありました。いつ何が起こるか分からないことを実感しています」

山口会長は令和元年の水害直後、佐賀県地域婦人連絡協議会でボランティアチームを結成し、武雄市役所旧北方支所前広場に武雄ライオンズクラブが建てたプレハブで、LPガスを使い8,000食以上の炊き出しを行いました。被災された方は家の片付けに追われ、食事の準備もできません。たくさんの人が毎日の炊き出しの食事を待っており、当初は大変でしたが、みなさんに感謝され、ボランティアをする方が涙していたといいます。

地域を支える女性たちの力

そんな中、炊き出しの献立は食生活改善の活動と知識を生かし、皆で考え抜き飽きの来ないようにといろんなメニューを提供しました。後日、婦人会館での研修会の際に貼りだした炊き出し活動の写真を日本赤十字社の担当者の方がご覧になり、感心して写真を撮っていくほどでした。

「たとえば、日曜日はカレーの日にしました。作業続きで曜日感覚が薄くなった被災者の方に、『今日は日曜日か』と気づいてもらえるようにするためです」

弁当づくりをする炊き出しチーム 曜日に提供したカレーライス-1

弁当づくりをする炊き出しチームと日曜日に提供したカレーライス

盛夏に始まった炊き出しも、終わる頃には寒さを感じる季節となっていたそうです。令和3年の水害ではコロナ禍だったため弁当を配布しました。自治体によっては炊き出しの要望もあり、さまざまな場所で経験を積んだことで団結が増し、どこででも炊き出しができる自信もつきました。料理ができ、子どもからお年寄りまで人の世話ができ、女性は災害時に強いと山口会長はいいます。

「想像してみてください。毎日家事や家族の世話をして動き回っている人たちが、避難所でどれだけ活躍できるか。私たち協議会の活動は今後ますます、地域にとってかけがえのない力となるはずです」

佐賀県地域婦人連絡協議会のボランティアで結成した炊き出しチーム

佐賀県地域婦人連絡協議会のボランティアで結成した炊き出しチーム

*日本LPガス団体協議会では、令和4年に全国女性団体連絡協議会を通じて、佐賀県地域婦人連絡協議会にLPガスの災害炊き出しキットの寄贈を行っています。

「防災学習会」での取り組み

県内各地から協議会の代表者が集まり、佐賀市の婦人会館で行われる「防災学習会」。
昨年は「自助」をテーマに、「Yahoo! 防災速報」アプリを取り上げました。東京からYahoo!のスタッフがやってきて、アプリの使い方を説明。スマートフォンの扱いに不慣れな参加者も、Yahoo!スタッフに直接教えてもらい、「自分にもできた」「面白かった」と楽しんだそうです。皆で体験しながら学ぶグループワークは毎回好評とのことです。

今回のテーマは「共助」です。66名の参加者の前で、まず山口会長から学習パンフレット「女性会(婦人会)の目で防災まちづくり」のチェック項目を確認。その後、一般社団法人佐賀県LPガス協会の防災対策についての講演、そして日本赤十字社佐賀県支部による共助の力をつけるグループワークが行われました。

開会の冒頭に山口会長から学習パンフレットのチェック項目を確認

開会の冒頭に山口会長から学習パンフレットのチェック項目を確認

講演「自然災害などを想定したLPガスの防災対策について」

講師は、一般社団法人佐賀県LPガス協会の江口哲朗さん。災害時は、発生直後から72時間(3日間)をどう乗り切るかが重要といわれます。LPガスがあれば、給湯、煮炊き、暖房などのエネルギー源となり、被災者の生活を速やかに支えることが可能です。LPガスは劣化しないため長期間使用できること、マイコンメータの復帰方法など、わかりやすい資料をもとに解説されました。

今後は洪水浸水想定地域の軒先に設置したLPガス容器に、鎖やベルトの二重掛けが必要となること、集中監視システムによる安全への取組み、カーボンニュートラル実現に向けたグリーンLPガスが開発中であることも併せて紹介されました。

佐賀県LPガス協会江口さんの講演

佐賀県LPガス協会江口さんの講演

グループワーク「災害から命を守るためには」

講師は、日本赤十字社佐賀県支部 事業推進係長の馬渡幸秀さん。まず近年の災害を振り返り、今後30年以内に発生する確率が70%という南海トラフ沖地震では、佐賀も被災する可能性が大いにあること。そして災害の規模が大きいほど、日本赤十字社など外部支援が現地に入るのに時間がかかり、救える命が少なくなることを説明されました。

一方で、東日本大震災のとき釜石では昔ながらの「津波てんでんこ」(津波が来たら、いち早く各自てんでんばらばらに高台に逃げろ)の教訓からほとんどの小中学生が助かり、阪神・淡路大震災では神戸の被災者の8割以上が地元住民によって救助された実態があることを紹介。災害を生き抜くには、「自助」とともに「共助」の力が必要で、コミュニケーション力が大切と馬渡さん。

グループワークの模様(グループワークは、まず話し合いからスタート)

グループワークの模様(グループワークは、まず話し合いからスタート)

グループワークは、「ドローイングチャレンジ」という青少年赤十字防災教育プログラムとして小・中学校や高校でも行うものでした。空のペットボトルにカラーペンを括り付けた「大きなペン」を、グループそれぞれの人差し指だけで支え、息を合わせて紙に図形や絵を描いていきます。

最初はシンプルに、「円」を描いてみます。グループごとに話し合って描き出すのですが、想像以上の難しさに会場はざわめきました。使えるのは人差し指だけ、他の指やもう片方の手で支えるのもNG。ペットボトルの四隅に指を合わせれば、大きなペンを立てて持つことはできました。しかしそれだけでは、宙に浮いてペン先を紙につけられません。

みんなで大きなペンを動かしますが、難しい! 手前は円、奥は星。がんばった様子が伺えます。

みんなで大きなペンを動かしますが、難しい! 手前は円、奥は星。がんばった様子が伺えます。

そこで、一人がペットボトルを上から押さえます。さらに人手の多いグループではペン先近くにも指を添え、誘導して描くことができました。ただ円を描くだけでも、どれくらいの大きさにするか、時計回りか反時計回りか、など描き出す前にみんなで確認することが必要だと分かります。
続いてはさらに複雑な「星」となり、最後のお題は
「カメ」

チームワークも良くなったけど、カメは難しそうです。 息を合わせて、最後に目を入れたグループも。

チームワークも良くなったけど、カメは難しそうです。 息を合わせて、最後に目を入れたグループも。

ドッと笑いが起こった後、カメってどう描くのだっけ?と早速話し合いです。円や星よりも丁寧にカメらしい形がどんどん描かれて、最後は息も合っていたようでした。仕上がった絵は、上から見たカメだったり、横向きだったり、両方描いたグループも。力を合わせて作品を生み出した後はみなさんイキイキとした笑顔で、会場はあたたかい一体感に包まれていました。

ドローイングチャレンジには、自分の考えを言う、みんなの意見を聞く、みんなで話し合う、みんなで納得して決める、という4つのポイントがあります。実際にグループではコミュニケーションをして状況を判断。まとめ上手な人がリードし、みんなで解決策を見出し、役割分担をして、対応されていたようです。これこそ「共助」の力で、災害時に命を守る行動へとつながるものだそうです。
今回のドローイングチャレンジで得た経験が、今後の災害支援時に役立つものだと確信しています。

チームワークも良くなったけど、カメは難しそうです。 息を合わせて、最後に目を入れたグループも。

カメの甲羅まで美しい線で描かれていました。 ワイルド?なカメも!

地域に避難指示が出た際、テレビやインターネットの情報よりも、町内の友人知人、隣人の「呼びかけ」が、動くきっかけになると日本赤十字社の馬渡さんはいいます。地域活動に参加する人は、防災活動にも参加し、逆もしかり。地域コミュニティが活発であるほど、防災、減災につながります。婦人連絡協議会の活動や存在、そして防災学習会がいかに大切かを、会場全体で再確認できた一日でした。

by 永田 知子

LPガス安全委員会はLPガスの消費者に関する保安活動の一環として、各県のLPガス協会やLPガス関係団体が実施する保安活動を支援しています。

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